バックテスト基礎
スプレッド固定バックテストがリアルで崩れる理由
公開 2026.06.16最終確認 2026.06.16
MT5テスターでスプレッドを固定値に設定してバックテストしたことはないだろうか。
リアルのスプレッドは常に変動している。固定値の結果と実運用がズレるのはこのためだ。
結論
スプレッド固定のバックテストは「スプレッドが常に一定」という現実には無い前提に立っている。
リアルのスプレッドは次のタイミングで大きく動く。
- 早朝(日本時間5〜7時): 流動性低下で2〜5倍に広がる
- 経済指標の前後: 一時的に通常の3〜10倍以上に拡大
- 週明けの窓開け: 前週終値と乖離して広がる
固定値ではこれらのコスト急増がシミュレーションに含まれない。
なぜEA運用で重要か
EAが早朝にエントリーしたり、指標前後にポジションを持つ設計だと、固定スプレッドの結果はほぼ参考にならない。
特にスキャルピングEAは平均利益が小さく、スプレッド1pipsの変動で勝ち負けが入れ替わる。
仕組み・条件
MT5テスターのモード
- Every tick based on real ticks: 実ティックに基づく。スプレッド変動も再現。精度が最も高い
- Every tick: 生成ティック。変動は限定的
- Open prices only: 始値のみ。変動は反映されない
「スプレッド」を固定値で指定すると、全ティックで一定値になる。
スプレッド変動の影響(参考値)
| 時間帯 | EURUSD・ECN口座の目安 | 固定値との差 |
|---|---|---|
| ロンドン〜NY | 0.1〜0.5 pips | 小さい |
| 東京 | 0.3〜1.0 pips | 中程度 |
| 早朝 | 1.0〜5.0 pips | 大きい |
| 指標直後 | 3.0〜20+ pips | 非常に大きい |
※業者・口座タイプ・銘柄で異なる。
バックテストやリアル運用で壊れるポイント
- 固定1.0pipsでPF1.5 → 実運用では早朝拡大で月間PFが1.0割れ
- 早朝スキャを固定0.5pipsでテスト → 実際は3pips以上で全損
- ゴールドを固定で検証 → 変動が通貨ペアの数倍で意味が薄い
- 「Every tick」でも変動再現は不完全 → 過信しない
どう確認するか
- 「Every tick based on real ticks」モードでティックのスプレッド変動を反映する
- 固定と変動の両方でテストし、PFの差を確認する
- 差が大きいEAは、スプレッド変動に敏感だと判断する
- 早朝・指標時に取引するEAは、その時間帯のスプレッドを実測する
- スプレッド見送りフィルター(閾値超えで非エントリー)の導入を検討する
自分の検証スタンス
固定スプレッドは「おおまかな傾向を見る」初期段階でしか使わない。最終判断は必ず「Every tick based on real ticks」で行う。
それでもリアルとの乖離は残るので、小ロットのフォワードで確認する。バックテストはあくまで足切りのツール。
参照した公式情報
免責
本記事は個人の検証メモであり、投資助言ではありません。バックテストの結果は将来の成績を保証するものではありません。スプレッドの変動幅は業者・口座タイプ・銘柄・時間帯によって異なります。