バックテスト基礎

PFは「高ければいい数字」ではない

PF(プロフィットファクター)はEA検証の基本だが、PFが高い=良いEAではない。PFの読み方、勘違いしやすいポイント、数字に踊らされないための確認項目をまとめる。

EAのバックテストを見て、最初に目が行く数字が何か。

自分の場合はPFだった。

プロフィットファクター。総利益÷総損失。1.0を超えていれば利益が出ている。高いほどいい。

……と、最初は素直にそう思っていた。

PF 2.0のEAを見つけた時は、正直かなりテンションが上がった。「これは良いEAだ」と。

でもEAを何本か作って壊しているうちに、PFの見方が変わった。PFが高いこと自体は悪くない。問題は、PFだけで油断しやすいしてしまうこと。

PFの計算は単純。だから信じやすい

PFの計算式はこう。

PF = 総利益 ÷ 総損失

PF 1.5なら、損失に対して1.5倍の利益が出ている。

わかりやすい。直感的。だから信じやすい。

裁量で「先月の成績どうだった?」と聞かれた時に、PFで答えられる人はあまりいない。たいてい「勝った」「負けた」の感覚で答える。

EAになるとPFが自動計算されるから、初めて自分の売買を客観的な数字で見ることになる。

この時にPFの高さに油断しやすいしてしまうと、他の数字を見なくなる。

PFが高くても壊れるEAはある

PF 2.0。

この数字だけ見ると良さそうに思える。でも裏側を見ると、こんなパターンがある。

取引回数が30回しかない。

30回で計算されたPF 2.0は、統計的にはほとんど意味がない。10回連続で勝てば偶然でもPFは高く出る。

特定の1ヶ月が全体を引き上げている。

月別で見ると、ある1ヶ月だけ大きく勝っていて、残りの11ヶ月はトントンか微マイナス。その1ヶ月を外すとPFは1.0を割る。

フィルターを足しすぎている。

負けトレードを消すためにフィルターを足した結果、取引回数が減り、残ったトレードだけでPFが上がっている。これは過剰最適化のサイン。

PFが高いからいいEA、ではない。PFが高い理由を分解する。

PFと一緒に見る数字

PFだけ見るのではなく、最低限これを一緒に見る。

自分がバックテスト結果を見る時の順番は、PF → 取引回数 → 最大DD → 月別損益。

PFが良くても取引回数が少なければ見送る。取引回数が十分でもDDが大きければ慎重になる。月別損益にムラがあれば、そのムラの原因を調べる。

PFが「良すぎる」時に疑うこと

正直なところ、PF 2.0以上のEAは最初に疑う。

理由は、自分が作ったEAでPF 2.0以上が出た時、だいたい過剰最適化だったから。

過去のデータにフィットさせすぎて、未来の相場では別人のように崩れる。バックテストでは優等生だったのに、フォワードに出した瞬間に連敗。

この経験が何度かあると、PFが高い時ほど「これは本物か?」と疑うようになった。

疑う手順はこう。

  1. パラメータを少し変えてもPFが残るか
  2. バックテスト期間を前半と後半に分けても両方でプラスか
  3. フィルターを1つ外しても形が残るか
  4. 取引回数はパラメータ数の30倍以上あるか

ここを通過したら、ようやくフォワードに出す候補になる。

スプレッドと手数料を入れたPFを見ているか

もう一つ見落としやすいのが、PFの計算にスプレッドと手数料がちゃんと入っているかどうか。

MT5のバックテストでスプレッドを0にしてPFを見ると、当然高く出る。でも実運用ではスプレッドがかかる。

手数料がかかるRaw Spread口座やECN口座なら、手数料込みのPFを見ないと意味がない。

スプレッドなしでPF 1.5。スプレッド込みでPF 1.1。手数料込みでPF 0.95。

こうなると、そのEAは実運用でマイナスになる。

PFは必ず「スプレッド+手数料を入れた状態」で見る。

この記事のメモ

PFは便利な数字だ。

でも便利すぎて、それだけで判断したくなる。

裁量の頃は成績を数字で見ることすらしていなかった。だからEAのバックテストで初めてPFという客観指標に出会った時、「これさえ見ておけばいい」と思ってしまった。

実際には、PFは入口でしかない。

PFが何でできているか。取引回数は足りているか。DDはどうか。特定の期間に依存していないか。スプレッド込みの数字か。

この辺りを一緒に見ないと、PFだけに踊らされる。

EAを作り始めて最初に覚える数字がPF。そして、最初に裏切られる数字もPF。

そのことを先に知っておけたら、もう少し冷静に検証できたと思う。

チェックリスト

FAQ

Q: PFはいくつ以上あればいい?

PF単体では判断しない。ただし、スプレッド・手数料込みでPF 1.3以上、取引回数200回以上、アウトオブサンプルでもPFが維持されているなら、フォワードテストの候補にはなる。PF 1.0前後なら、コスト構造の変化で簡単にマイナスになる。

Q: PFと期待値はどう違う?

PFは「利益の総量÷損失の総量」、期待値は「1回の取引あたりの平均損益」。同じことを別の角度で見ている。期待値のほうが「1回でいくら」とわかりやすいので、自分は期待値のほうを先に見ることが多い。

Q: PFが1.0を切ったらEAを止める?

直近N回(たとえば100回)のPFが1.0を切ったら一時停止するルールを事前に決めておくと判断しやすい。ただし、相場環境の変化なのか一時的な不調なのかは慎重に見る必要がある。

免責

本記事は個人の検証メモであり、投資助言ではありません。PFの解釈は検証条件によって変わります。EAの運用判断はご自身の責任で行ってください。