バックテスト基礎
最大ドローダウンは、利益より先に見る数字
公開 2026.06.15最終確認 2026.06.15
EAの最大ドローダウン(最大DD)は、PFや勝率よりも先に見るべき数字。最大DDの意味、過小評価しやすい理由、バックテストの数字をどう疑うかを検証メモとして整理する。
EAのバックテストを見て、PFと勝率だけ見て「いけそう」と思ったことがある。
PF 1.5。勝率65%。右肩上がりの損益曲線。
いい数字だ。
でも、そこからフォワードに出した途端に、ガクッと落ちる時期が来る。含み損が膨らんで、口座残高が見るたびに減っている。「壊れたかもしれない」と思う。
この時に必要なのが、最大ドローダウン(最大DD)の事前確認。
もしバックテスト上の最大DDを把握していれば、「これはバックテストでも起きていた範囲の下落だ」と判断できる。把握していなければ、ただパニックになる。
最大DDは、EAの利益を語る前に見る数字だと思っている。
最大DDとは何か
最大ドローダウン=口座残高のピークから、底までの最大の落ち込み幅。
たとえば、口座が100万円から130万円まで増えて、そこから105万円まで減った場合、このドローダウンは25万円。パーセンテージでは約19%。
これがバックテスト全期間で最も大きかった値が、最大DD。
見方は金額でもパーセンテージでもいいが、自分はパーセンテージで見ることが多い。理由は、ロットを変えた時にも比較しやすいから。
なぜPFより先に見るのか
PFが高くても、最大DDが口座の50%を超えるEAは実運用で使いにくい。
理由は2つ。
1. 人間が耐えられない。
口座の50%が溶けるのを見て、平常心でEAを動かし続けられる人は少ない。自分は無理だった。裁量の頃、含み損が膨らんでチャートを閉じた経験がある。EAでも同じことが起きる。EAは感情なく動くが、見ている自分は感情がある。
2. 回復に時間がかかる。
50%のDDから元に戻るには、残った資金で100%の利益を出す必要がある。30%のDDからの回復は約43%。DDが大きいほど、回復のハードルが指数的に上がる。
PFが高くてもDDが大きいEAより、PFがそこそこでもDDが小さいEAのほうが、実運用で続けやすい。
バックテストの最大DDは「過去の最悪」であって「未来の最悪」ではない
ここを勘違いしやすい。
バックテスト上の最大DDが20%だったとしても、将来の最大DDが20%に収まる保証はどこにもない。
むしろ、将来はバックテスト以上のDDが来ると想定しておくほうが安全。
自分は、バックテストの最大DDの1.5〜2倍を想定して、それでも耐えられるロットにする。バックテストで最大DD 20%なら、実運用では30〜40%のDDを覚悟する。
「バックテストの最大DDで止まるはず」と信じて限界までロットを上げるのは、かなり危ない。
DDの回復期間も見る
最大DDの深さだけでなく、回復にかかった期間も見る。
最大DD 20%でも、回復に6ヶ月かかるなら、その6ヶ月間ずっとマイナスを見続けることになる。
人間が6ヶ月間、毎日赤い数字を見ながらEAを動かし続けるのは、思った以上にきつい。
裁量の頃、3日含み損が続いただけで精神的にきつかった。EAにしたからといって、この苦痛がゼロになるわけではない。
だから回復期間も含めて、「これくらいの落ち込みが、これくらいの期間続くのを、自分は耐えられるか」を先に考える。
DDの発生時期を見る
最大DDがいつ発生したかも重要。
最大DDが5年前に発生していて、直近2年はDDが小さいなら、相場環境が合っている可能性がある。
逆に、最大DDが直近に発生しているなら、EAの有効性が変わりつつある可能性がある。
もう一つ見たいのは、DDの原因。
- 特定の指標発表日に集中しているか
- 相場環境(トレンド→レンジへの転換)と一致しているか
- 連敗によるものか、1回の大損によるものか
原因がわかれば、対策が打てることもある。指標時にDDが集中しているなら、指標停止ロジックを入れれば改善するかもしれない。
自分がDDを見る順番
バックテスト結果を開いた時の見方はこう。
- 最大DD(%)を確認する
- 最大DDの発生時期を見る
- DD回復期間を見る
- 月別損益でDD期間の内訳を見る
- 自分の許容範囲(口座の20%以内)と比較する
- ロットサイズがDD許容範囲に収まるか計算する
ここで許容範囲を超えるなら、ロットを下げるか、EAを見送るか、DDの原因に対策を打つか。
PFや勝率を見るのは、この後。
チェックリスト
- [ ] 最大DD(%)を確認したか
- [ ] 最大DDの発生時期を確認したか
- [ ] DD回復期間を確認したか
- [ ] バックテストの最大DDの1.5〜2倍を想定したか
- [ ] 想定DDに耐えられるロットサイズにしたか
- [ ] DDが許容範囲を超えた場合の停止ルールを決めたか
- [ ] DDの原因(指標集中、連敗、1回の大損)を分析したか
FAQ
Q: 最大DDはどのくらいまで許容すべき?
自分の資金量とメンタルによる。一般的には20〜30%以内が目安と言われるが、30%のDDを6ヶ月見続ける自分を想像できるかどうかで判断したい。想像してきつければ、ロットを下げる。
Q: DDが大きいEAは使えない?
DDが大きくてもPFが高ければ長期的にはプラスになる可能性はある。でも、DD中に自分がEAを止めてしまったら、その後の回復は取れない。使えるかどうかは、数字だけでなく「自分が耐えられるか」で決まる。
Q: DDを小さくする方法は?
フィルター追加、ロット管理、損切り幅の調整などがある。ただし、DDを小さくするためにフィルターを足しすぎると過剰最適化になる。ロット管理でDDを制御するほうが、ロジックを崩さずに済む。
免責
本記事は個人の検証メモであり、投資助言ではありません。DDの数字は過去のデータに基づくものであり、将来のDDを保証するものではありません。EAの運用判断はご自身の責任で行ってください。