バックテスト基礎

期待値をEA検証でどう見るか

期待値は「1回あたりの平均損益」を示す地味な数字だが、EAの芯を見るためにPFや勝率よりも重要。期待値が小さすぎるEAが抱えるリスクと、検証での見方をまとめる。

EAの成績を見るとき、PF(プロフィットファクター)や勝率ばかり見ていないだろうか。

自分は昔、そうだった。PF2.0、勝率80%と聞けば「素晴らしいEAだ」と飛びついていた。

でも、本当に見るべきはもっと地味な数字、「期待値」だ。

期待値は「1回の取引あたりの平均損益」を表す。勝っても負けても、1回トレードするごとに平均していくら残るか、という数字だ。

裁量トレードをやっていた頃の「勝率が高いから安心」「一発で取り返す」という癖が抜けないと、この期待値の重要性を見落としやすい。

期待値はEAの芯を見る数字

PFが良くても、期待値が小さすぎるEAは実運用で簡単に壊れる。

たとえば、1000回トレードしてPFが1.5あるEAでも、1回あたりの期待値が「10円(0.1pips相当)」しかなかったらどうなるか。

バックテスト上は綺麗な右肩上がりのグラフになる。でも、実運用に出した途端、スリッページが1回起きただけで期待値がマイナスに転落する。スプレッドが少し広がっただけで、利益が吹き飛ぶ。

期待値が小さいということは、「薄利多売の極み」であり、少しの環境変化で赤字に転落するギリギリの設計だということだ。

だから、PFや勝率の前に「このEAは1回あたりいくら稼ぐ設計なのか」を期待値で確認する。期待値が十分に大きければ、多少のスプレッド拡大やスリッページにも耐えられる「芯の強いEA」と言える。

期待値は固定ではない

期待値を見るときに忘れてはいけないのが、この数字は固定ではないということ。

特に取引コストの影響は絶大だ。バックテストで期待値がプラスでも、スプレッドの設定が甘ければ、実稼働では容易にマイナスになる。

だから、バックテストの期待値を計算するときは、必ず実運用を想定した厳しめのスプレッドと手数料を含めて計算しなければならない。

期待値が小さすぎるEAとの向き合い方

もし、開発中のEAの期待値が小さすぎた場合、どうすればいいのか。

一つは、対象銘柄のボラティリティを見直すこと。値動きの小さな時間帯・銘柄で薄く取るロジックなら、期待値は必然的に小さくなる。
もう一つは、無駄なトレードを削ること。利益に貢献していないノイズのようなトレードをフィルターで弾くことで、1回あたりの期待値を引き上げることができる。

ただし、フィルターを足しすぎると今度はカーブフィッティング(過剰最適化)の罠に落ちるので、バランスが難しい。

この記事のメモ

期待値は、夢のない数字だ。

「これを使えば一発逆転」といった派手さはない。ただ淡々と、1回のトレードの現実を突きつけてくる。

でも、EA運用を長く続けるなら、この地味な現実から目を背けてはいけない。

期待値がしっかりプラスのEAを、適切なロットで、淡々と動かす。それが、EA運用で生き残るための一番確実なアプローチだと思っている。

チェックリスト

FAQ

Q: 期待値はどのくらいあればいいですか?

絶対的な基準はないが、取引コストを引いた上で、最低でも数pips相当の期待値は欲しい。スキャルピングであっても、期待値が小さすぎるとブローカーの約定力次第で簡単にマイナスになる。

Q: 勝率が高ければ、期待値が小さくても大丈夫ですか?

勝率99%でも、1回の負けが大きすぎて期待値がマイナスなら、長期的には破産する。勝率が高くても期待値が小さい場合、1回の負けを取り戻すのに膨大な回数のトレードが必要になるため、リスクが高い。

Q: PFと期待値、どちらを優先すべきですか?

同じことを別の角度から見ている数字だが、自分は「期待値」を先に見て、そのEAがスリッページやコストに耐えられる構造か(芯の強さ)を確認する。その上で、トータルの効率としてPFを見るようにしている。

免責

本記事は個人の検証メモであり、投資助言ではありません。期待値は過去のデータに基づくものであり、将来の成績を保証するものではありません。EAの運用判断はご自身の責任で行ってください。