テクニカルEA化

ボリンジャーバンドスクイーズの「ダマシ」をEAでどう処理するか

ボリンジャーバンドのスクイーズ(収縮)からのブレイクアウトをEA化する際、方向判定の難しさと頻発する「ダマシ」にどう対処するか。フィルター条件の考え方を整理する。

チャートを見ていて、ボリンジャーバンドの幅が極端に狭くなっている(スクイーズしている)のを見つけると、ワクワクする。

「そろそろ大きく動くぞ」

エネルギーが溜まっている状態。そこからバンドを突き破って価格が飛び出した瞬間、その方向に飛び乗る。ブレイクアウト戦略の王道だ。

これをEAにしようと思った。
「バンド幅が過去N期間の最小値になり、価格が+2σ(または-2σ)を終値で超えたらエントリー」

いける気がした。
しかし、バックテストの結果は悲惨だった。

ブレイクしたと思ってエントリーすると、次のローソク足で即座に戻ってきて損切り。いわゆる「ダマシ(フェイクアウト)」の連発。

手動なら「これはダマシだ」と見送れる微妙な動きに、EAは律儀に全弾引っかかっていた。

スクイーズは「動き出し」しか教えてくれない

ボリンジャーバンドのスクイーズは、確かに「そろそろ動く」というサインとしては非常に優秀だ。

しかし、EA設計の観点から見ると、致命的な欠陥が一つある。
「どちらに動くか」は教えてくれないのだ。

バンドが狭くなった後、価格は上か下、どちらかにブレイクする。しかし、最初のブレイク方向が「本物のトレンド」になるとは限らない。上にブレイクしたフリをして、逆行して下の大トレンドになることは日常茶飯事だ。

スクイーズの検出(バンド幅の計算)と、ブレイク方向の判定。
この2つを同じロジックで処理しようとするとEAは破綻する。

EAに「ダマシ」を見抜かせるフィルター

EAにブレイクの「質」を判定させる必要がある。
私が検証で追加していくのは、以下のようなフィルターだ。

  1. 実体の大きさと出来高(ティックボリューム)

ブレイクしたローソク足の実体が小さい、あるいはティックボリュームが伴っていない場合は見送る。「力強いブレイク」を数値化する。

  1. 上位足のトレンド方向

15分足で上にブレイクしても、4時間足が明確なダウントレンドなら上ブレイクのシグナルは捨てる。上位足に逆らうブレイクはダマシになりやすい。

  1. N本待つ(即乗りしない)

ブレイクした瞬間にエントリーするのではなく、「ブレイク後、バンドの外側にN本以上滞在したら」または「ブレイク足の高値/安値を更新したら」エントリーする。これで「即戻り」のダマシを回避できる。

「空振り」を許容する設計

ダマシを避けるためにフィルターを厳しくすると、今度は「本物のブレイク」の初動に乗り遅れるというジレンマに陥る。

ここで完璧を求めてはいけない。

ブレイクアウトEAの勝率は、そもそも高くない(勝率30〜40%でも普通だ)。
大事なのは、10回のうち7回ダマシで細かく損切りしても、残り3回の本物のブレイクで大きく利益を伸ばす(損小利大)ことだ。

だから、損切り幅の設計が命になる。
ブレイクした方向とは逆のバンド(+2σで買ったら、-2σやミドルライン)を割ったら即撤退する。これを機械的にやれるのがEAの強みだ。

この記事のメモ

ボリンジャーバンドのスクイーズは、視覚的には非常にわかりやすい。だから裁量トレードでは人気がある。

でも、EAに「あの形」を認識させるのは骨が折れる。
裁量トレーダーは無意識のうちに、ローソク足の勢い、時間帯、直前の値動きの文脈を読んで「このブレイクは本物っぽい」と判断しているからだ。

EA化を通して、「自分がチャートのどこを見てブレイクを判断しているのか」を言語化させられる。スクイーズのEA化は、自分の裁量ロジックを解剖する作業に似ている。

チェックリスト

FAQ

Q: スクイーズの検出にボリンジャーバンド幅(BandWidth)だけで十分ですか?
基本は十分ですが、ケルトナーチャネルと組み合わせてスクイーズをより厳密に判定する手法(TTM Squeezeなど)も有名です。ダマシが多い場合は検出ロジックの変更も検証の余地があります。

Q: どの時間帯のスクイーズを狙うべきですか?
欧州時間やNY時間のオープン前後など、市場参加者が増えて流動性が高まる時間帯のブレイクが「本物」になりやすいです。逆にアジア時間の薄商い中のブレイクはダマシになりやすい傾向があります。

免責

本記事は個人の検証メモであり、投資助言ではありません。ボリンジャーバンドの設定値や手法の有効性は相場によって変動します。